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弁護人による窓口での手紙差入れを広島拘置所が拒んだ件についての会長声明

2016年06月10日



                          2016年(平成28年)6月10日
                          広島弁護士会 会長 爲 末 和 政
1 声明の趣旨
 広島拘置所に対し,弁護人の被疑者・被告人に対する差入れを,書類の内容に関わらず差入窓口で受け付けるよう求める。

2 声明の理由
(1) 憲法及び刑事訴訟法が保障する弁護人選任権は,弁護人の選任を官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく,被疑者・被告人が,弁護人に相談し,その助言を受けるなど,弁護人から援助を受ける機会を実質的に保障したものである。
これを受けて,刑事訴訟法39条1項は,被告人又は被疑者に弁護人と書類等を授受等する接見交通権を認めている。この権利は憲法及び刑事訴訟法により保障されている被疑者・被告人が弁護人から援助を受ける権利の中核ともいうべき,刑事手続上の重要な権利であり,刑事訴訟法39条2項が規定する例外を除き,その制限は許されないものである。
 そして,被疑者・被告人が,弁護人から,捜査や刑事裁判の進行に応じた適時の援助を受けるためには,速やかに,信書を含む書類等を受け取って,内容を確認する必要があり,そのためには,差入窓口での差入れが認められなければならないものである。
(2) この点に関し,2012年(平成24年)4月,広島拘置所の差入窓口において,当会会員である弁護人が,被告人の母親から預かった手紙の差入れを申し出たところ,信書の差入れは郵便でなければ受け付けできないとして,窓口での差入れを拒否されるという事件が発生した。なお,本件は,刑事裁判で手紙を証拠として使う予定であり,特に速やかな差入れ実現が求められる事案であった。
 そこで,同会員は,差入れ拒否は憲法及び刑事訴訟法が保障する接見交通権を侵害し違法であるとして,国家賠償請求訴訟を提起した。
 この訴訟について,広島地方裁判所民事第3部(小西洋裁判長)は,2016年(平成28年)5月11日,判決を言い渡し,弁護人の窓口での差入れを認めれば,拘置所の業務態勢に支障が生じるおそれがあるとして,信書の差入れを郵便等に制限することを認めた刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則の規定は,必要かつ合理的な制限であると認められ,憲法に違反しないとの判断を示した。
 本判決は,接見交通権の重要性を全く理解せず,現実的かつ具体的な支障が生じるおそれを検討することなく,広島拘置所の対応を適法と判断したもので,刑事弁護に対する基本的な理解が欠如したものであり,極めて不当な判決である。
(3) 以上より,当会は,広島拘置所に対し,本判決に影響されることなく,弁護人の被疑者・被告人に対する差入れを,書類の内容に関わらず,差入窓口で受け付けるように求めるものである。

以上