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刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の成立に関する会長声明

2016年07月13日



                    広島弁護士会 会長 爲 末 和 政

 「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」が、2015年(平成27年)3月に国会へ上程され、衆参両議院での審議を経て、本年5月24日に可決成立し、6月3日公布された。
 同法の成立により、当会がこれまで求めてきた取調べの可視化の法制化について、裁判員裁判対象事件と検察官独自捜査事件の限られた範囲ではあるが、取調べの録音・録画が実現することになり、また、被疑者国選弁護制度が勾留全件に拡大されたことや証拠リストの交付等証拠開示が拡大されたことなど、従前よりも前進したと評価できる部分もある。
 しかしながら、当会が、2014年(平成26年)2月5日付意見書(時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想についての意見書)及び同年11月21日付意見書(『新たな刑事司法制度の構築のための法制度の概要』に反対する意見書)でも指摘してきたとおり、以下の点につき重大な懸念がある。
 すなわち、今回成立した改正法では、取調べの録音・録画につき、その対象が裁判員裁判対象事件と検察官独自捜査事件に限定されているうえ、例外として録音・録画されない場合が広範に許容されている。また、本法案の審理過程において、別件起訴後に勾留されている被告人に対する対象事件の取調べは録音・録画の対象とはならないとの政府委員答弁がなされるなど、取調べの可視化が一部に留まってしまう虞が明らかにされた。
 次に、今般の法改正には通信傍受法の改正も含まれているところ、その改正内容は、従前、組織犯罪の4類型(薬物犯罪など)に限定されていた対象犯罪が、組織性の要件の付加こそあるものの、窃盗・詐欺や傷害・殺人などの一般犯罪に拡大されているうえ、盗聴を実施するための手続的規制が緩和されており、一般市民の通信が不当に盗聴されるといった濫用に対する懸念がある。
 次いで、今般、新たに司法取引制度としての協議・合意制度が導入されることになったところ、その対象犯罪は経済犯罪と組織犯罪に限定されているとはいえ、この制度の導入によって無実の第三者が引き込まれる危険があり、えん罪を生む虞が懸念される。
 以上のとおり、今般の法改正については、依然、上記のような懸念があることから、当会は、捜査機関に対し、えん罪の防止という改正法の趣旨に悖るような運用がなされることのないよう強く要請するとともに、今後の運用状況を検証し、えん罪の発生につながるような運用を決して許さず、次なる法改正に繋げられるよう、全力を挙げて取り組む所存である。
以上