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「暴力団情報データベース」に関する要望書

広弁第561号
2016年10月18日



警察庁長官  坂口正芳 殿

                     広島弁護士会 会 長  爲末和政

 当会は,申立人A申立てに係る人権救済申立事件(2014年度第20号人権救済申立事件)につき調査した結果,以下のとおり要望する。

第1 要望の趣旨
 申立人は過去に暴力団に所属したことがないにもかかわらず,誤って暴力団に所属していたものと登録されたおそれがあり,当該登録に基づき犯罪傾向が進んだ受刑者が収容される刑務所にて処遇されるなどの不利益を受けた可能性が高い状況にあるため,「暴力団情報データベース」への登録の有無について申立人からの問合せに回答するとともに,仮にその登録が誤っていることが判明した場合には,当該登録データを削除するよう要望する。

第2 要望の理由
 下記「調査報告書」のとおり。

<調査報告書>

事件名 暴力団としてのデータ登録に関する人権救済申立事件
(2014年度 第20号事件)
受付日 2014年(平成26年)9月22日
申立人 A
相手方 警察庁長官

第1 結論
 警察庁長官に対し,「要望書」のとおり要望するのが相当である。

第2 申立ての趣旨
 申立人は,覚せい剤取締法違反(自己使用)の罪により,2013年(平成25年)9月20日から2016年(平成28年)3月26日まで,神戸刑務所に入所していた者である。
 申立人は,2013年(平成25年)3月28日の判決言渡から神戸刑務所に移送されるまでの5ヶ月の間,広島拘置所で複数回の面接調査を受けた際,何度か暴力団員ではないかとの質問をうけた。これに対し,申立人は,事実とは異なるので,否定した。同年9月,神戸刑務所へ移送された際の申送りにおいて,「(申立人は)共政会鈴木組に所属しているということで神戸刑務所に来た」と聞いた。
 しかし,申立人は,現役の暴力団員でも元暴力団員でもない。申立人が暴力団に所属した者として誤って登録をされていることにより,受刑生活や仮釈放等において不利益をうけている。
誤った登録をされていることは人権侵害であり,救済を求める。

第3 調査の経過
2014年(平成26年)9月22日  人権救済申立書受付
2014年(平成26年)10月3日  予備調査開始
2014年(平成26年)12月22日 申立人より文書
           (別件の人権救済申立て→兵庫県弁護士会へ移送)
2014年(平成26年)12月24日 予備調査報告書提出
2015年(平成27年)3月30日  申立人及び神戸刑務所長宛に照会文書送付
2015年(平成27年)4月10日  神戸刑務所長より回答書
2015年(平成27年)5月28日  申立人より回答書
2015年(平成27年)6月1日   元弁護人臼井康朗弁護士より電話聴取
2015年(平成27年)6月10日  予備調査報告書(2)を提出
2015年(平成27年)7月1日  本調査へ移行
2015年(平成27年)10月8日 広島県警本部に照会
2015年(平成27年)11月25日 上記照会につき,回答拒否
2015年(平成27年)3月26日  申立人,刑の満了のため出所
2016年(平成28年)6月19日  申立人,警察庁に対し,個人情報開示請求
2016年(平成28年)7月6日   警察庁長官,上記請求に対し,不開示決定

第4 当会の判断
 日本弁護士連合会は,2016年(平成28年)3月9日,本件と類似の事案について調査を行い,警察庁長官に対する要望を行った。いわゆる「暴力団情報データベース」に関する下記の判断については,基本的には,日本弁護士連合会による調査結果に依拠するものである。
1 いわゆる「暴力団情報データベース」について
組織犯罪に係る情報の収集については,各都道府県警察において,全ての部門が緊密に連携し,①犯罪組織の実態に関する情報,②組織犯罪の取締りに資する情報,③その他,組織犯罪対策を効果的に推進するため必要な情報を収集し,効果的かつ適切な情報収集活動の推進のために,各都道府県警察において,情報収集活動が適切に行われるよう,組織的に検討し,これを推進するものとされている(警察庁組織犯罪対策要綱)。
また,警察官が必要なときに必要な情報を入手・活用し,様々な警察活動を迅速かつ的確に行うため,コンピュータを利用した警察情報管理システムが構築されている。これは,警察庁に設置された大型コンピュータと各都道府県警察本部に設置されたコンピュータ,そしてこれらを結ぶデータ通信回線から構成される全国規模のシステムであり,犯罪組織に関する情報の収集及び集約,報告,分析,還元に当たっても,警察情報管理システム等の情報技術を積極的に活用するものとされている。そして,犯罪組織に関する情報については,当該情報をデータベース化して全国的に共有する「組織犯罪対策情報管理システム」が整備されており,その犯罪組織に関する情報の一部として,暴力団情報が含まれている(以下「組織犯罪対策情報管理システム」において扱われる暴力団情報に関するデータベースを「暴力団情報データベース」という。)。その部外提供については,警察庁刑事局犯罪組織対策部長による「暴力団排除のための部外への情報提供について」(2000年(平成12年)9月12日付けのものが2011年(平成23年)12月22日付けで廃止されて新たに通達され,更にこれが2013年(平成25年)12月19日付けで廃止されて新たに通達されたものであり,以下「本件通達」という。)において規律されている。
本件通達において,「暴力団情報については,法令の規定により警察において厳格に管理する責任を負っている一方,一定の場合に部外に提供することによって,暴力団による危害を防止し,その他社会から暴力団を排除するという暴力団対策の本来の目的のために活用することも当然必要である」とされた上で,「暴力団情報を提供するに当たっては,その内容の正確性が厳に求められることから,必ず警察本部の暴力団対策主管課等に設置された警察庁情報管理システムによる暴力団情報管理業務により暴力団情報の照会を行い,その結果及び必要な補充調査の結果に基づいて回答する」ものとされている。
また,日本弁護士連合会に対する,2014年(平成26年)4月4日付け警察庁刑事局組織犯罪対策部の回答によれば,警察において暴力団対策のための情報管理システムを保有し,同システムには,各都道府県警察が捜査等を通じて収集した情報が含まれており,同システムへの情報の登録は各都道府県警察の責任で行っているとされている。他方で,同回答によれば,暴力団対策のための情報管理システムへの登録の有無は本人に教示せず,また登録情報の訂正を求める手続は存在せず,登録情報が誤りである場合には当該情報を提供した関係機関等にその旨を連絡することになるとされているが,組織犯罪対策情報管理システムにおいて,暴力団情報がどのような根拠資料に基づき収集・登録され,その登録情報の正確性を確保する手続が存在するのか,登録後の情報の更新・訂正等がどのように行われるのかなどの点は不明である。
2 本件の問題の所在
(1) 個人情報開示請求に対する不開示決定
申立人によれば,現在も過去においても,暴力団に所属したことはないにもかかわらず,警察によって,誤って「暴力団情報データベース」に登録され,その結果,一般に犯罪傾向の進んでいる再犯又は累犯が収容されるとされているB指標の刑務所である神戸刑務所に収容されたとしている。また,仮釈放の許可基準の適用に当たっても暴力団所属の有無が考慮されている等の不利益を受けているとして,「暴力団情報データベース」への誤った登録を削除することを求めている。
申立人は,本件申立後(社会復帰後)である2016年(平成28年)6月19日に,警察庁に対し,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「行政機関個人情報保護法」という。)に基づき,申立人は,自らの暴力団員データベースへの登録の有無及びその内容について開示を求めた。しかし,警察庁長官は,同年7月6日付けで「いかなる者が組織犯罪に係る情報収集活動の対象とされているかという情報は,開示することにより,組織犯罪に係る情報収集活動の実態が明らかとなって,犯罪組織等をして各種活動を潜在化,巧妙化することを容易にし,犯罪の予防,鎮圧又は公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められることから行政機関個人情報保護法第14条5号に該当する」とし,「本件対象保有個人情報については,その存否を答えるだけで行政機関個人情報保護法第14条5号の不開示情報を開示することとなるため,法第17条の規定に基づき,その存否自体を回答できない」として,本件保有個人情報の開示をしない旨の決定をした。
(2) 本件の問題の所在
本件申立てにおいては,①申立人が警察庁長官に対して,自己が「暴力団情報データベース」に登録されているか否かについて開示を求めることができるか,また,②(①について開示を求めることができるとして)申立人が暴力団員であり,又は暴力団員であったという事実がないにもかかわらず,①における開示の結果,申立人が「暴力団情報データベース」に登録されていた場合に,申立人が警察庁長官に対して,憲法に基づいて,当該情報の削除を求めることができるか,が問題になる。
3 申立人は自己が「暴力団情報データベース」に登録されているか否かについて開示を求めることができるか
(1) 憲法13条と自己情報コントロール権
憲法13条は,「すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については」「最大の尊重を必要とする」と定めており,一般原理の表明にとどまらず,個人の尊重,生命・自由及び幸福追求という個人の人格的生存に不可欠の権利である幸福追求権を宣明するものである。そして,今日では,幸福追求権によって基礎付けられる個々の権利は,裁判上の救済を受けることができる具体的権利であるとするのが通説となっている。
そして,プライバシー権は,他人からみだりに自己の私的な事柄についての情報を取得されたり,他人に自己の私的な事柄をみだりに第三者に公表されたり利用されたりしない私生活上の自由として,人格的自律や私生活上の平穏を確保するための私法上の権利として認められた人格権の一内容として,憲法13条によって保障されている。更に,今日の情報化社会の進展に伴い,個人に関する情報が膨大に収集され,独占的・集中的に管理されている状況にあるが,このような社会においては,人格的自律と私生活上の平穏を実効的に確保するためには自己のプライバシーに属する情報の取扱い方を自分自身で決定することが極めて重要である。すなわち,個人が,自己に関する情報にいつでもアクセスし,その情報内容を認識し,それが正しく管理されているか否かを点検でき,その管理された情報に誤りがある場合には訂正し,若しくはその情報の削除を求めることができなければ,個人の尊厳,ひいては人格的自律や私生活上の平穏を確保することができなくなる危惧が生ずることになる。
そこで,憲法13条で保障されるプライバシー権は,自由権的なものにとどまらず,「自己に関する情報をコントロールする権利」として捉えられている。
(2) 「暴力団情報データベース」に登録されていることによる不利益
日本弁護士連合会は,2012年(平成24年)5月18日,法務省矯正局に対し,暴力団に所属している受刑者について,①犯罪傾向が進んでいるものとしてB指標向け刑務所に収容されるか,②仮釈放が認められる条件が厳しくなる処遇がなされているか等について照会を行った。
これに対する法務省矯正局の2012年(平成24年)6月4日付け回答によると,暴力団に所属している者は,犯罪傾向の進度が進んでいる者としてB指標に判定され,B指標刑事施設に収容されて処遇されるとのことであり,「暴力団情報データベース」に登録されることによって,犯罪傾向の進んだ者が収容される刑務所に収容されることになる。また,同回答によると,仮釈放については,暴力団に所属する者についても,法務省令に定められた許可基準(「仮釈放は,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再犯のおそれがなく,かつ,保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに許すものとする。ただし,社会感情がこれを是認すると認められないときはこの限りではない。」)に従って判断されるとのことであり,仮釈放の許可基準の適用に当たっても暴力団に所属していることが消極的な評価を受ける可能性があることは否定できない。
このように「暴力団情報データベース」に登録されることによって,収容される刑務所が犯罪傾向の進んだ受刑者を扱う刑務所となり,また仮釈放の判断において消極的な評価を受ける可能性がある等の不利益を受けるのであるから,少なくとも現実に刑務所に収容されて処遇を受けている申立人にとって,「暴力団情報データベース」に登録されているか否かは申立人の重大な利害に密接にかかわる事柄である。
(3)自己情報コントロール権に基づく開示が認められるか
ア 「暴力団情報データベース」訂正の前提としての開示の必要性
申立人は,一貫して,過去にも現在においても暴力団員であったことはなく「暴力団情報データベース」の登録対象者ではないと強く主張し,暴力団所属であるとの情報の削除を求めているが,この削除が認められる前提として,自らが「暴力団情報データベース」に登録されているか否かが開示される必要がある。
イ 申立人の「暴力団情報データベース」への登録と行刑上の処遇
当会は,2015年(平成27年)3月30日付けで神戸刑務所長に対して,申立人を暴力団員と把握しているかにつき照会を行った。これに対する同刑務所長の同年4月10日付け回答によれば,「当所では,司法関係機関の情報により,処遇上の参考事項として申立人が5代目共政会鈴木組に組員として所属していた経緯があると認識している」とのことであった。
また,当会は,2015年(平成27年)10月8日付けで,広島県警本部に対し同県警本部が申立人の暴力団所属の有無に関して行った神戸刑務所への照会回答の内容及び回答の経緯について照会を行った。これに対し,広島県警本部は,11月25日,回答を拒否した。
申立人は2013年(平成25年)4月から同年9月までの間,広島拘置所で複数回の面接調査を受けているが,その際に申立人は担当面接官から,何度か暴力団員ではないかという点につき確認されている。申立人はこれを否定したが,担当面接官がこのような質問を複数回行ったという事実から,当該面接調査の時点で申立人が「暴力団情報データベース」へ登録されており,当該情報に基づいて申立人の受刑する刑務所,処遇分類等の処遇が決定されていた可能性が高い。
ウ 申立人に関する情報が誤って登録されている可能性
当会が申立人の承諾のもと,元弁護人である臼井康朗弁護士から保管中の刑事記録における記載内容について電話で聴取したところ,申立人が刑事裁判当時又はそれ以前に暴力団に所属し若しくは所属していたことを窺わせる記載は一切見当たらなかった。それにもかかわらず,2013年(平成25年)9月の神戸刑務所への申送りにおいて,申立人が暴力団員であると認定されていたことの根拠は明らかではない。したがって,申立人が主張するとおり,申立人は,過去にも暴力団に所属した事実がないにもかかわらず誤って「暴力団情報データベース」に登録された疑いがあることは否定できない。
エ 開示の必要性
前記のとおり,「暴力団情報データベース」に登録される情報がどのような根拠資料に基づき収集・登録され,その登録情報の正確性を確保する手続が存在するのか,登録後の情報の更新・訂正等がどのように行われるのかなどの点は不明であり,登録の有無は本人に教示されず,登録情報の更新・訂正等がどのように行われるかも不明である。また,行政機関個人情報保護法に基づく個人情報開示請求によっては,申立人が「暴力団情報データベース」に登録されているか否かについて確認することはできない状態である。したがって,暴力団取締り等公共の安全と秩序の維持の要請があるとしても,「暴力団情報データベース」への登録の有無の確認や登録情報の更新・訂正を求める手段がない状況においては,少なくとも,「暴力団情報データベース」に登録されているか否かに関して重大かつ密接な利害関係を有し,そもそも過去にも現在においても暴力団員ではなかったとの主張を容易に排斥することが困難である申立人については,「自己に関する情報をコントロールする権利」を行使して,その情報内容,具体的には,自己が「暴力団情報データベース」に登録されているか否かについて,開示を受けることが認められることが相当であるというべきである。
4 個人情報開示請求に対する警察庁の不開示について
 前記のとおり,本件申立ての本調査中に,申立人が警察庁長官に対し,行政機関個人情報保護法に基づき,申立人が自己の暴力団情報データベースへの登録の有無及びその内容の開示を求めたのに対し,警察庁長官は,「公共の安全等に関する情報」(行政機関個人情報保護法第14条5号)に該当することを理由として,当該文書の存否も明らかにせず開示を拒絶した。
 しかし,暴力団に所属し又は所属していたか否かの情報を当該本人に開示しても直ちに公共の安全と秩序の維持に支障が生じるとまでは考えにくく,当該情報が「公共の安全等に関する情報」に該当しない場合があるとも考えられるが,仮に「公共の安全等に関する情報」に該当するとしても,「個人の権利利益を保護するために特に必要がある」ときは,行政機関の長は裁量により当該情報を開示することができる(行政機関個人情報保護法第16条)。そして,前記のとおり,申立人は誤って「暴力団情報データベース」に暴力団に所属していたものと登録されたおそれがあり,この登録に基づいて犯罪傾向の進んだ受刑者が収容される刑務所において処遇されるなどの不利益を受けている可能性が高い状況のもとでは,「暴力団情報データベース」への登録の有無は申立人の利益に重大かつ密接に関係する事実である。また,今後,申立人が再犯に及ぶことがあるとすれば,その際にも誤った認定に基づく処遇が繰り返される懸念がある。したがって,警察庁長官は,申立人については「個人の権利利益を保護するために特に必要がある」ものとして,裁量権を行使して申立人が「暴力団情報データベース」に登録されているか否かについて開示すべきであったのであり,警察庁長官が,具体的な根拠も明らかにすることなく,同人の利害に重大かつ密接に関係する事実を開示しなかったことは,申立人の自己情報の開示請求権を不当に制約したものである。
5 「暴力団情報データベース」に登録された申立人の情報が誤っていた場合に削除を求めることができるか
 上述したとおり,過去にも現在においても暴力団員ではなかったとの申立人の主張を容易に排斥することが困難であり,この登録に基づいて刑事処遇上の不利益を受けている可能性が高いから,申立人は「暴力団情報データベース」に登録されているか否かに関して重大かつ密接な利害関係を有している。
 したがって,申立人については,「自己に関する情報をコントロールする権利」を行使して,自己が「暴力団情報データベース」に登録されているか否かについて開示を受けた結果,申立人が「暴力団情報データベース」に誤って登録されていることが判明した場合には,当該情報の削除を求めることができるというべきである。
日本弁護士連合会に対する2012年(平成24年)6月4日付け法務省矯正局成人矯正課の回答によれば,暴力団所属の認定が誤っていることが判明した場合は,処遇審査会に付した上で訂正するとのことであり,警察庁自身も「暴力団情報の提供に当たっては,その内容の正確性が厳に求められる」としており,これらの事実は,当該情報が誤っていた場合に削除することの請求権を認める必要性を裏付ける事情として指摘できる。なお,行政機関個人情報保護法に基づく開示請求においても,同法に基づいて開示を受けた個人情報について,開示を受けた者に訂正・削除の請求権があることは法文上明らかである(同法27条)。裁判例も,「他人の保有する個人の情報が,真実に反し不当であって,その程度が社会的受忍限度を超え,そのため個人が社会的受忍限度を超えて損害を蒙るときには,その個人は,名誉権ないし人格権に基づき,当該他人に対し不真実,不当なその情報の訂正ないし削除(以下「訂正」という。)を請求しうる場合があるというべきである」(東京高裁昭和63年3月24日判決・判例タイムズ664号260ページ)として,名誉権ないし人格権に基づき,他人が保有する誤った個人情報の訂正ないし削除請求ができる場合があることを認めている。
6 結論
 以上のことから,申立人は,現在又は過去において,暴力団に所属したことがないにもかかわらず誤って所属していたものと登録されたおそれがあり,当該登録に基づき犯罪傾向が進んだ受刑者が収容される刑務所において処遇されるなどの不利益を受けている可能性が高い状況のもとでは,「暴力団情報データベース」への登録の有無について開示を受けられることが相当であり,仮にその登録が誤っていることが判明した場合は,誤った登録データの削除を求め,不利益を是正することができるものというべきである。
したがって,当会は警察庁長官に対し,「暴力団情報データベース」への登録の有無について,申立人からの問合せに回答するとともに,仮にその登録が誤っていることが明らかになった場合には,直ちに当該登録データを削除するよう要望すべきである。
以上