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南スーダンPKOへの新たな任務を付与することに反対し、安保関連法の廃止を求める会長声明

2016年12月21日



南スーダンPKOへの新たな任務を付与することに反対し、安保関連法の廃止を求める会長声明
                 2016年(平成28年)12月21日
                   
 広島弁護士会会長 爲 末  和 政
声明の趣旨
当会は、南スーダンPKOへ参加する自衛隊に対して新たな任務を付与した閣議決定とそれを実行する第11次隊の派遣に強く反対し、引き続き安保関連法の廃止を求める。

声明の理由
1 閣議決定
2015年11月15日政府は南スーダンPKOに関する新たな実施計画を閣議決定し、その中で、本年3月29日に施行された改正PKO協力法に基づく「駆けつけ警護」とそのための武器使用、「宿営地共同防護」とそのための武器使用権限を第11次隊から付与することとした。第11次隊は11月20日から順次南スーダンへ派遣され、12月12日より活動可能な状況となっている。
「駆けつけ警護」は、離れた場所で襲われた他国のPKO要員や国連職員、NGO関係者などの「活動関係者」を救護する活動であり、停戦合意が安定的に維持されていることが条件となっている。「宿営地共同防護」は自衛隊が駐屯する宿営地が襲撃された場合に、他国PKO部隊と共同して、宿営地を防護する活動である。
いずれの活動でも、武装した集団あるいは政府軍・反政府軍部隊との交戦が想定される危険な活動である。
2 南スーダンの状況
南スーダンPKO(UNMISS)は、2013年12月以降の政府軍と反政府軍との首都ジュバや全土にわたる内戦を経て、2014年5月に新たな安保理決議により、住民保護を筆頭任務とされ、そのための武力行使権限が付与された。2015年8月に政府軍と反政府軍との間で、停戦と国民統一移行政府樹立が合意されたが、その後も停戦合意は守られず内戦は続いている。2016年7月首都ジュバにおいて政府軍と反政府軍との間で激しい戦闘が始まり、現在も南スーダン各地で戦闘行為が継続している。
南スーダンでは、以下の通り改正PKO協力法のPKO参加5原則(とりわけ停戦合意と中立性原則)が維持されているとは言い難い。
2016年11月1日国連独立調査団報告書は、2015年8月の停戦合意が崩壊していると述べている。反政府軍の領袖である前第一副大統領マシャールは、既に停戦合意が崩壊していること、首都ジュバも攻撃目標であると表明している。UNMISS軍司令官代理は、ジュバの情勢は極めて不安定で、停戦合意が安定的に維持されているとは言えないと述べている。
2016年7月のジュバでの戦闘の際には、UNMISS本部も攻撃されている。南スーダン政府はUNMISSが中立的ではなく、反政府勢力を保護しているとみなして、UNMISSの活動を妨害し、敵意を煽っている。2016年8月安保理決議2304号で創設される地域防護軍は、相手が政府軍であっても先制攻撃を含む迅速で効果的な武力行使権限が付与されている。
3 南スーダンにおいて想定される事態
自衛隊が南スーダンにおいて「駆けつけ警護」活動や、「宿営地共同防護」活動を行えば、政府軍を相手にした戦闘となりうる。現に2016年7月8日から11日の間のジュバにおいて、国連要員や国際人道援助関係者が滞在しているホテルが政府軍兵士80~100名に襲撃され、新聞記者1名が殺害され、略奪が行われ、人道援助関係者は強姦されている。訓練された武装組織である政府軍と戦闘となれば、大規模な武力行使とならざるを得ない。
とりわけ「宿営地共同防護」活動は、広大な宿営地を他国PKO部隊と共同して防衛するためのものであり、武力行使を行う他国PKO部隊と共同して防衛行為を行う際に、自衛隊だけが武力行使ではなく単に武器使用にとどまるとは言い難く、相手が政府軍であれば憲法第9条に反する武力行使になる。このように、改正PKO協力法による「駆けつけ警護」活動、「宿営地共同防護」活動はいずれも武力行使を永久に放棄する憲法第9条に違反し、かつ、2016年11月15日に閣議決定された新たな実施計画も憲法第9条に違反するものである。
4 結語
当会は、PKO協力法改正を含む安保関連法が憲法違反であることや、その廃止を求めてきた(2015年9月19日付、2016年2月24日付会長声明)。ここに改めて、南スーダンPKOへ参加する自衛隊に対して新たな任務を付与した閣議決定とそれを実行する第11次隊の派遣に強く反対し、安保関連法の廃止を求めるものである。
                               以上
以上