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貸与世代の修習資金の返済猶予を求める会長声明

2017年04月26日



                    広島弁護士会 会長 下 中 奈 美

第1 声明の趣旨
当会は,修習資金の貸与を受けた者(新第65期から第70期司法修習生として司法修習を行った者あるいは行っている者)について,修習資金の返還を当面の間,猶予する措置を講じることを求める。

第2 声明の理由
1 2017年(平成29年)2月3日,内閣は,平成29年以降の司法試験に合格した司法修習生に修習給付金を支給する新制度の創設を盛り込んだ旨の裁判所法改正案を閣議決定した。そして,同年4月19日,改正裁判所法が成立し,修習給付金が創設された。
2011年(平成23年)に司法修習生に対する給費制が廃止され,貸与制(無給制)に移行した。そのため,新第65期から第70期の司法修習生(以下,「貸与世代」という。)の多くの者が,大学や法科大学院の奨学金に加え,貸与金の返還債務を負担することとなり,これらの者に対する経済的負担が重くのしかかっている。若手弁護士の就職難や経済的困窮は社会問題化しており,法科大学院進学者及び司法試験受験生は減少の一途をたどっている。三権の一翼を担う司法権の弱体化が強く懸念されているところである。
このような現状の中で,改正裁判所法が成立し,修習給付金が創設されたこと自体は,遅すぎる感がないではないが,一定の評価に値するものである。
2 しかし,修習給付金が創設されるにともなって,貸与世代と貸与制移行前に給費を受けてきた者及び新しい給付制度により今後給付を受けることとなる第71期以降の司法修習生(以下,「給費世代」という。)との間において,不公平・不公正な事態が生じることは,もはや明白である。
司法修習生に対する給費制は,経済的事情にかかわらず,多様な資質・能力を有する法曹志望者に対し,修習への参加を支援し,法曹になるための公平な機会を確保するという観点から極めて重要な役割を果たしてきた。このようにして輩出された多様な資質・能力を備えた法曹の存在が,これまで,我が国において国民の人権保障に寄与してきたことは疑いようがない。
給費制が廃止されて以後,貸与世代は,貸与金の返済等の心理的・経済的抑圧から,人権保障のための各種活動を行うことが困難な状況に置かれている中,給費世代と同様にその使命と責務を果たしている。
にもかかわらず,貸与世代の修習資金のあり方や,給費世代と貸与世代との不公平・不公正な事態を解消するために必要な対策が講じられることなく,貸与世代の第1期生である新第65期司法修習生であった者に対する貸与金の返還時期である平成30年7月が迫ろうとしている。そして,一度貸与金の返還が開始されてしまうと,給費世代と貸与世代との不公平・不公正な事態を解消するために必要な方策を実施するに当たり,制度設計上困難な事態が新たに生じてしまうこととなる。
そこで,このような不公平・不公正な事態を解消するために必要な方策につき,議論を深化させるための一定の期間を設けるべく,まずは,新第65期司法修習生であった者をはじめとして,修習資金の貸与を受けた者について,修習資金の返還を当面の間,猶予する措置が講じられるべきである。
3 以上より,当会は,司法修習における修習資金の意義や,給費世代と貸与世代との不公平の是正について,更なる議論の深化が必要であると考えるので,修習資金の貸与を受けた者について,修習資金の返還を当面の間,猶予する措置を講じることを求める。
以上