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地方消費者行政の維持・強化を求める会長声明

2017年10月20日



                          広島弁護士会 会長 下 中 奈 美

消費者庁は、2017年(平成29年)7月25日、「地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方等に関する検討会報告書」を公表した。同報告書は、地方消費者行政の充実・強化に向けた今後の支援のあり方について、財源の確保、国の支援等にかかる基本的方向性を示したものであるが、その基本的な考え方を踏まえつつも、今後、財政支援等の諸施策についてさらなる充実化、具体化が望まれる。
全国の消費生活センターに寄せられる消費者被害やトラブルに関わる苦情相談件数は、全国で90万件前後、広島県内でも3万件前後と高水準で推移し、特にその中でも、高齢者の消費者被害・トラブルが増加の一途をたどっており、判断力が低下した高齢者の弱い立場につけ込む悪質商法・詐欺商法が深刻さを増している。社会の高齢化、国際化、情報化の中で、地方消費者行政の一層の充実が求められている。
こうした中、地方消費者行政の財政基盤の確保は、極めて重要な課題である。現在、地方消費者行政の財政基盤は、地方消費者行政推進交付金等の国の支援により支えられている。しかし、地方消費者行政推進交付金の対象は、平成29年度までの新規事業に限定されており、継続性が確保されていない。多くの地方公共団体の政策判断が必ずしも消費者行政重視に転換していない中、財政基盤の脆弱化は地方消費者行政の後退を招くことになりかねない。
 地方消費者行政推進交付金等の活用にあたり広島県内の各自治体が作成した「都道府県推進計画・市町村推進プログラム」をみても、平成30年度以降の県内各自治体の消費者行政に関しては、概ね「消費生活相談体制については、基金活用期間経過後においても維持する。」との方針が述べられる一方で、研修・啓発事業に関しては多くの自治体において「精査していく」とされており、消費生活相談員に対する研修及び一般への消費者教育等の事業が従前通り行われない懸念が既に具体的に生じている。消費者に対して行政が提供すべきサービスについて、自治体の財政力に応じて違いが生じることは避けなければならない。
 地方消費者行政の財政基盤を引き続き確保し、充実していくためには、地方消費者行政推進交付金の対象事業を平成30年度以降の新規事業も適用対象に含めるよう同交付金の実施要領を改めるか、または、地方消費者行政の体制・機能強化のための新たな特定財源を立ち上げることが必要である。
 また、消費生活相談情報のPIO-NET登録、重大事故情報の通知、法令違反業者への行政処分、適格消費者団体の差止関係業務など、国の業務と関連があり、全国的な水準を向上させる必要性が大きい業務が地方公共団体により担われていることに鑑みれば、地方財政法第10条を改正し、これらを担当する地方公共団体の職員・相談員の人件費等の相当割合を、国が恒久的に負担することとすべきである。
 こうした財政基盤の確立とともに、地方消費者行政における法執行、啓発・地域連携等の企画立案、他部署・他機関との連絡調整、商品テスト等の事務を担当する職員の配置人数の増加及び専門的資質の向上に向け、国による実効性ある支援を強めることが望まれる。
 当会は、国による継続性のある財政支援とさまざまな施策への実効ある支援及びこれらを通じた地方消費者行政の一層の強化を求める。
以上