声明・決議・意見書

会長声明2021.02.25

実効的な男女共同参画の推進を求める会長声明

2021年(令和3年)2月25日

 

広島弁護士会会長 足立 修一

第1 声明の趣旨

当会は、日本政府に対し、女性の政策方針決定過程への参画の促進や男女格差の解消を喫緊の重点課題と位置付け、意識改革の取組を進めるとともに、より実効性ある具体的措置、施策を早急に講じるよう強く要請する。

第2 声明の理由

1 2021年2月3日、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会森喜朗会長(当時)は、公益財団法人日本オリンピック委員会(以下「JOC」という)臨時評議員会において、「女性がたくさん入っている理事会は、理事会に時間がかかります。」「女性の数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制を促しておかないとなかなか終わらないんで困っている…」などと述べ、「女性」を一括りとした偏見・固定観念に基づく発言(以下「本件発言」という)をした。「その場にいたJOCの評議員会のメンバーからは笑い声もあがった」とも報道がされているとおり、本件発言をめぐる問題は、決して個人の偏見・固定観念ではなく、日本社会全体に根強く残る偏見・固定観念の表れである。

2 男女共同参画社会の実現は、個人の尊重(憲法13条)、男女平等(憲法14条、24条)を図り、1人の人間として敬意を払うことをもたらすものであり、「21世紀の我が国社会を決定する最重要課題」(男女共同参画社会基本法前文)である。しかし、世界経済フォーラムが発表する世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダーギャップ指数」で、2019年の日本の順位は153か国中121位、主要7か国(G7)中最下位である。また、政府は、社会のあらゆる分野において指導的位置に女性が占める割合につき、従前2020年までに30%としていたにもかかわらず、同年12月の「第5次男女共同参画基本計画」では、「2020年代」となり達成時期が先送りされた。男女共同参画社会の実現状況は改善されるどころか、悪化している。このような中で、内閣総理大臣経験者が「女性」を一括りとした偏見・固定観念に基づく本件発言をしたことは、日本社会において男女平等が図られていないとして、日本国自体に対する国際的信用を失わせるものであり、もはや放置することは許されない。

3 依然として我が国社会が変わるに至らない背景には、働き方・暮らし方の根底に、長年にわたり人々の中に形成された固定的な性別役割分担意識や性差に関する偏見・固定観念、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)がある。この意識を変えていく取組みが極めて重要である。

したがって、当会は、日本政府に対し、本件発言をめぐる問題を個人の問題に矮小化することなく、日本社会の問題の現れであることを認識したうえで、職場における男女格差の解消のため女性の活躍を更に推進する施策の実施にとどまらず、声明の趣旨記載の措置、施策を早急に講じるよう強く要請する。

以上