声明・決議・意見書

その他2021.01.26

核兵器禁止条約が発効したことについての会長談話

2021年(令和3年)1月26日

広島弁護士会

会長  足 立 修 一

 

本年1月22日、核兵器禁止条約が発効し、国際法としての位置づけを獲得したことを被爆地ヒロシマの弁護士会として歓迎する。

核兵器禁止条約の前文では、「核兵器の使用による犠牲者(ヒバクシャ)や核実験による被害者にもたらされた受け入れがたい苦痛と被害」に言及し、「いかなる核兵器の使用も国際法の規定、特に国際人道法の原則及び規則に違反すること」が確認されている。このことが国際法として規範となったことの意義は大きく、核兵器の廃絶に向けた一里塚として、大きな歴史的意義があるものと考える。

この前文の文言は、広島・長崎の被爆者をはじめ、核実験などによるヒバクシャの被害を世界中の人々が人道的な影響・被害と認識したことによって実現したものである。

日本は、唯一の戦争被爆国であり、かつ、被爆直後に国際法違反の兵器と断罪したことがあり、日本社会の人々も、約7割が核兵器禁止条約に参加すべきとするにもかかわらず、日本政府は安全保障の見地から核兵器禁止条約には署名・批准しない立場をとっている。

核兵器を共有配備するNATO諸国でも、世論は核兵器禁止条約の署名・批准に積極的であり、特に、ベルギーでは、昨年9月、新しい連立政権の合意文書で核兵器禁止条約の署名・批准に前向きな姿勢を示している。

当会は、引き続き日本政府に対し速やかにこの条約に署名・批准するよう求め、また、締約国会議が開催されるときには、たとえ未署名であったとしても、核保有国との橋渡しとして、日本政府が積極的に関与するように求めるなど、今後も、被爆者及び核兵器廃絶により平和を願う市民らとともに、核兵器のない社会の実現のために努力することを誓う。

 

以上