声明・決議・意見書

会長声明2010.03.03

家族法の差別的規定等の早期改正を求める会長声明

広島弁護士会
会長  山下哲夫

選択的夫婦別姓や婚外子の相続分差別撤廃等に関する家族法改正は、既に1996年に法制審の答申が出されながら今日まで、実に14年もの間放置されてきた。
婚姻による改姓は、現実には多くの場合女性が行っており、その結果改姓により生ずる社会生活上の不利益を多くの場合女性が被っている。姓は、個人のアイデンティティを表す名前の一部であり、婚姻前の姓を名乗るという選択は憲法13条等に照らしても尊重されるべきである。夫婦の同姓を強制する国は先進国において日本のみとなっている状況、並びに2009年9月3日付産経新聞及び同年12月24日付毎日新聞の調査においていずれも選択的夫婦別姓導入賛成が反対を上回っている状況に鑑みても、選択的夫婦別姓の導入を躊躇う理由はない。
婚外子の相続分差別撤廃も国際的な趨勢である。婚外子の相続分差別は、出生時に父母が婚姻しているか否かという子自身にはいかんともし難い事実をもって行われる差別であり、憲法14条、24条2項に違反することは明らかである。最高裁判決においても、婚外子の相続分差別撤廃を求める意見は繰り返し行われている。
さらに、女性の再婚禁止期間は現代の科学技術の発達によりその立法事実は失われており、婚姻年齢の統一も今や憲法14条、24条2項から当然に要請されるところである。
1993年以来、日本政府は国連の各委員会からも家族法の早期改正を行うよう繰り返し勧告を受けており、2009年には女性差別撤廃委員会から、再度厳しい勧告を受けている。今こそ検討に留まらず、すみやかに現行家族法の改正がなされることを強く求める。

以上