声明・決議・意見書

会長声明2011.03.31

衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明

広島弁護士会
会長 大迫唯志

衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明

最高裁判所大法廷は2011年3月23日、2009年8月30日に施行された第45回衆議院議員総選挙のうちの小選挙区選出議員選挙に関し、広島県を含め全国で提起された9件の選挙無効確認請求訴訟について、選挙区間の投票価値の較差が最大で2.304倍に達していたこと等を理由として、「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」との判決を言い渡した。
上記判決は、投票価値の平等について「定数配分及び選挙区割りを決定するについて、議員1人当たりの選挙人数又は人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすること」を憲法が求めていると認めた上、衆議院小選挙区の区割りに当たり、各都道府県に1議席を配分した上で残りを人口比で割り振るいわゆる1人別枠方式について、この方式は「遅くとも本件総選挙時においては、」「その立法時の合理性が失われたにもかかわらず、投票価値の平等と相容れない作用を及ぼすものとして、」「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」と判断している。
選挙権は、民主主義の根幹を成す重要な権利であり、国民の意思を適正に反映する選挙制度は、民主政治の基盤である。もし投票価値の平等が確保されなければ、有権者の意思を公平かつ合理的に立法府に反映させるための平等選挙制度の機能は著しく阻害されることになる。
当会は、かかる投票価値の平等の重要性に鑑み、国に対し、直ちに、同判決が指摘する「1人別枠方式」を廃止するとともに、衆議院議員選挙区画定審議会に、選挙区別議員1人当たりの人口数を出来る限り1対1に近づける努力を尽くすことを前提に、速やかに選挙区割りの見直しに着手するよう求めるものである。

以上