声明・決議・意見書

会長声明2011.05.24

「法曹の養成に関するフォーラム」の開催にあたりその議事の公開と審理の充実を求める会長声明

広島弁護士会
会長 水中誠三

平成23年5月13日,法務省は「法曹の養成に関するフォーラム」の開催を発表した。
フォーラムにおいては,司法制度改革の理念を踏まえ,法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果(平成22年7月6日)と司法修習給費制の1年間の延長を決めた裁判所法一部改正の際の衆議院法務委員会決議(同年11月24日)に基づき,①給費制の存廃問題を含む法曹養成過程への経済的支援の在り方,②法曹人口問題を含む法曹養成制度全体の在り方が検討されることになっている。
当会は,司法修習生に対する給費制の維持が不可欠であるとの理念のもと,本年2月の定期総会で「給費制維持のための総会決議」を採択し,また昨年来,2度にわたる市民集会や街頭パレード,国会議員等への要請,中国新聞論説委員との懇談などの活動を行ってきた。また,法曹人口問題や法曹養成の在り方に関しても,総会や全員協議会で議論し意見書を提出するとともに,地域に根ざした法曹を養成するため,地元の2つの法科大学院と協力して法曹養成に取り組んでいる。
フォーラムは,こうした法曹養成制度に関する諸問題を検討する極めて重要な会議であり,当会は,このフォーラムにおいて関係諸機関及び有識者が十分な審理の上で具体的な改善方策の合意に至ることを期待するものである。
しかるところ,このたび発表されたフォーラムの「検討の進め方」によると,「会議は非公開とする」とされ,議事内容については「原則として,会議終了後速やかに議事録を作成して公表する」というにとどまっている。
しかし,上記のとおりフォーラムは司法制度改革の大きな柱である法曹養成制度全体の在り方を見直し,その改善方策を検討する極めて重要な会議であり,関係者も内閣官房と5省庁,法曹三者,法科大学院等の多数に及んでおり,当然ながら世論の関心も高い。拙速な審理は許されず,多種多様の意見・価値観を踏まえた多角的な検討がなされなければならない。にもかかわらず,こうしたフォーラムの会議を非公開の密室で行うことは,政策決定過程の透明化の要請に逆行し,政治への国民の信頼を損なうこととなる。従って,フォーラムの会議を公開し,広く国民の意見を求めることが不可欠である。実際,司法制度改革審議会の議事は公開されており,また,この間法務省において開催された「検察の在り方検討会議」においても別室に同時中継する形式で会議が開催されており,少なくともこうした公開方法を実施すべきである。
よって,当会は,フォーラム主催者並びにフォーラムを構成する関係諸機関及び有識者に対し,会議を公開し,国民に開かれた充実した審理を行うよう強く求める。

以上