声明・決議・意見書

会長声明2012.09.27

死刑執行に関する会長声明

広島弁護士会
会長 小田清和

本日、福岡拘置所において1名、仙台拘置所において1名、計2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。今回の執行は、2012年3月29日の執行再開以降、本年8月3日の執行に引き続き、2か月弱での死刑執行となるもので、極めて遺憾な事態であり、強く抗議する。
我が国の死刑制度に対し、国際社会は注目している。近時、国連総会本会議において、死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数の賛成で採択されてきたほか、国連機関においても、日本政府に対して、死刑執行停止の勧告や死刑制度の廃止を前向きに検討するようにとの勧告がなされている。これらは、いずれも死刑が最も基本的な人権である生命に対する権利を否定する究極の刑罰であり、死刑制度は人権にかかわる重大な問題であるという認識に基づいている。このように、世界では、死刑制度の廃止が潮流となっており、我が国をはじめとする死刑存置国に対し、死刑の執行を停止し、あるいは死刑適用の制限を求める動きがますます強まっている。
我が国では、本日2名の死刑を執行した滝実法務大臣は、今月25日の閣議後の記者会見では、本年10月1日に予定されている内閣改造で退任する意向を示しているところ、死刑制度のあり方について、責任ある政策を行い得ない状況で執行したことは極めて遺憾である。
当会は、死刑をめぐる情報が的確に開示された上、死刑の存廃についての国民的な議論が尽くされるまで、一定期間、死刑の執行を停止するよう要請してきているところ、前述の国連総会決議が採択されてきたことを受け、日本政府が速やかに死刑の執行を一時停止し、死刑制度の廃止について全社会的議論を直ちに開始することを求めるものである。

以上