声明・決議・意見書

会長声明2012.09.20

公契約法及び公契約条例の制定を求める会長声明

【声明の趣旨】
当会は、国に対して、公契約法の制定を求めるとともに、広島県内の全地方自治体に対して、公契約条例の制定を求める。
【声明の理由】
1 公契約とは、当事者の少なくとも一方が公の機関である契約を指し、具体的には国や地方自治体等が締結する公共工事や業務委託の契約を指すところ、近年、行財政改革や入札・契約改革の流れの中で、落札価格の低下と公の事業の民営化が進み、たとえば保育所の民間委託のケースにみられるように、これらの事業に従事する労働者の賃金が低下し、いわゆる「官製ワーキングプア」が生み出されている。
2 国際的には、公契約に対する規制としては、既に1949年にILO総会で「公契約における労働条項に関する条約」(第94号)が採択されており、同条約は、公契約に基づく業務(下請けも含む)で働く労働者について、国内の法令等の最低基準よりも有利な労働条件となる条項を、公契約中に定めなければならないとするものである。わが国は同条約を未だ批准していないものの、現在までに62の国・地域が批准している。
また、地方自治体では、2009年9月に千葉県野田市で全国初の公契約条例が制定されたのに続き、2012年3月5日現在、4つの地方自治体が公契約条例を制定している。さらに、全国の23県議会と740市区町村議会(広島県内では、広島県議会及び26の市町村議会)が、国に対し、公契約法の制定を求める意見書を採択するなど、全国的に公契約法及び公契約条例の制定の機運が高まってきている。
3 しかしながら、今日まで、国は公契約法の制定を実現するに至っておらず、また、広島県内の全ての自治体が公契約条例を制定していない。
当会は、これまで多重債務問題や生活保護問題など生活困窮者の支援に取り組んできたところ、公契約法及び公契約条例の制定は、深刻化している社会的貧困、及びワーキングプア問題の解決にとって重要な意義と役割を担うものである。
したがって、当会は、国に対して、公契約法の制定を求めるとともに、広島県内の全地方自治体に対して、公契約条例の制定を求めるものである。

以上