声明・決議・意見書

会長声明2013.04.10

マイナンバー法案の成立に反対する会長声明

広島弁護士会
会長 小野裕伸

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(略称「マイナンバー法」)案が,現在,国会で審議されている。
本法案は,全ての日本人及び住民登録をしている外国人に対し,社会保障と税の分野で共通に利用する番号(共通番号)を漏れなく付し,これらの分野の個人情報について,名寄せ・統合することを確実に可能とする制度(共通番号制)を創設するものである。
当会は,2012年(平成24年)6月13日,民主党政権時代に国会に提出された法案(旧法案)の成立に強く反対する会長声明を発表した。
共通番号制は,国民や外国人のプライバシー権(憲法第13条)を侵害する危険が極めて高いものである。共通番号で名寄せされる個人情報は,税務,社会保障(年金,労働保険,健康保険,生活保護,介護保険,税務等)にわたるもので,その中には,個人の資産,病気など,極めてセンシティブな個人情報も含まれる。これらの個人情報が名寄せ,統合されることにより,国家による国民監視の道具として利用されるおそれがある。また,サイバー攻撃による大規模で回復不能な個人情報漏洩の危険も高まる。それにも関わらず,これらの危険を防ぐ対策が十分ではない。一方で,本法は,行政の効率化,国民の負担軽減を目的としていながら,莫大にかかるであろう導入経費,運用経費が具体的に明らかにされず,更に,国民の間で,共通番号制により何がどのように変わるのか,これが本当に必要なのか,十分な議論はなされていない。
現在,審議されている新法案においても,これらの問題は同様である。むしろ,新法案は,個人に付された共通番号の利用を推進するべく,「行政事務以外の事務の処理において個人番号カードの活用が図られるように行われなければならない。」(第3条第3項)との規定が新たに設けられるなど,共通番号と情報提供ネットワークシステムの利用を官・民両分野でより拡大することが目指されており,当会が指摘した問題点はより深刻化している。しかも,韓国で大規模なコンピューターハッキング被害が発生したと報道されたばかりであり,サイバー攻撃の危険性も,現実のものとしてとらえる必要がある。
以上のように,当会が指摘してきた問題点は未だ解決されていないばかりか,問題はより深刻化している。それにも関わらず,未だ国民の間で十分な議論はなされていない。
したがって,当会は,本法案の成立に強く反対する。

以上