声明・決議・意見書

意見書2013.04.10

保証制度に関する抜本的改正を求める意見書

広島弁護士会
会長 小野裕伸

第1 意見の趣旨
当会は,国(法務省)に対し,債権法の改正に当たり,個人保証制度に関して,下記のような改正を行うよう求める。

1 事業者の貸金等債務について,少なくとも経営者(事業を執行する者)以外の個人保証を原則として禁止すること。
2 経営者の個人保証について,保証債務の減免及び比例原則の規定を新設すること。

第2 意見の理由
1 事業者が借入をするにあたって,経営者以外の者に保証を行わせる第三者保証は,多くの社会問題を引き起こしている。とりわけ我が国における第三者保証人は,事業者が営む事業とは全く無関係の友人,知人,親族等の情宜的保証人が多くの割合を占めている。これらの情宜的保証人は事業者の経営実体を知らずに,経営者から頼まれるままに保証人となることから,事業者の経営が破綻した場合,全ての財産を失い,一家離散,自己破産,離婚等悲惨な状況に追い込まれる事例が多数に上っている。更に,自殺に追い込まれる事例も存在する。
また,近年は信用保証協会なども原則として第三者保証を要求していない。
ところが,金融監督庁が2011年7月14日に監督指針を改正し,「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立」を明記した後においても,第三者保証を付することを金融機関から求められる例があり,かつ,金融機関以外の貸金業者については未だ何らの規制もないため,依然として保証被害が多発する危険性が高い。
したがって,事業者の貸金等債務について第三者による個人保証を原則として禁止することにより,根本的な解決を図るべきである。
2 本来であれば,事業者の経営者保証も原則禁止とすべきであるが,仮にこれを許す場合であっても,事業者の貸金等債務の経営者保証のあり方について抜本的な解決を図ることが望ましい。
それが困難であれば,少なくとも保証債務の減免及び比例原則の規定を新設することにより,できる限り保証責任を制限し,経営者の承継者の負担を軽減することが,円滑な事業承継にとって必要不可欠である。
3 よって,当会は,事業者の貸金等債務について,経営者以外の第三者保証を原則として禁止するとともに,例外的に経営者による個人保証が認められる場合であっても,保証の責任を制限する方向での改正がなされることを求めるものである。

以上