声明・決議・意見書

会長声明2014.01.15

死刑執行に関する会長声明

広島弁護士会
会長 小野裕伸

昨年12月12日、東京、大阪の各拘置所において、それぞれ1名に対して死刑の執行が行われた。谷垣禎一法務大臣による4度目の執行であり、昨年2月21日の3名、同4月26日の2名、同9月12日の1名に続く死刑の執行であって、合計8名に対して、連続して死刑の執行を命じたことになる。
当会においても、国民的な議論が尽くされるまで、死刑執行を停止すべき旨の声明を公表していたところ、再び執行されたことは、極めて遺憾な事態であり、強く抗議する。
当会もその構成団体となっている日本弁護士連合会は、昨年2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出して、死刑制度に関する当面の検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査のうえ、調査結果と議論に基づき、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと、そのような議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること等を求めていた。この要請を無視してなされた死刑執行は、当会としても到底容認することができない。
死刑の廃止は国際的な趨勢である。死刑制度を存置している国は58か国であるが、2012年(平成24年)に、実際に死刑を執行した国は、我が国を含め21か国であった。いわゆる先進国グループとされるOECD(経済協力開発機構)加盟国(34か国)の中で死刑制度を存置している国は、日本・韓国・アメリカの3か国のみであり、韓国とアメリカの18州は死刑を廃止又は停止しており、死刑を国家として統一して執行しているのは日本のみである。昨年5月31日には、国連拷問禁止委員会の総括所見が発表され、我が国は死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告を受けている。
当会は、国際連合の機関での見解を踏まえ、死刑をめぐる情報が的確に開示された上、死刑の存廃についての国民的な議論が尽くされるまで、日本政府が死刑の執行を一時停止し、死刑制度の廃止についての全社会的議論を直ちに開始することを求めるものである。

以上