声明・決議・意見書

その他2010.06.05

広島弁護士会は司法修習生の給費制廃止に反対しています

司法試験に合格し,法律家(裁判官・検察官・弁護士)となるためには,1年間の司法修習を受けなければなりません。司法修習は平日フルタイムで行われ,司法修習生の副業・アルバイトは一切禁止されています。

これまでは,司法修習生全員に対して,給与が支払われてきました(給費制)。
しかし,2004年の裁判所法改正が施行され,2010年11月から給費制が廃止されることとなりました。
給費制の廃止後は,司法修習生のうち,必要な者に対し生活資金を貸し付ける制度に切り替わることとなります。しかし,司法修習生の多くは,法科大学院に在学する間の授業料・生活費などのため,奨学金などの借り入れをしており,それに加えて司法修習中の生活資金を借り入れることは大きな経済的負担となります。
このような経済的負担の大きさもあって,近年,法律家を目指す人が減少しています。

弁護士が,多様な国民の皆さんの立場に即してそれぞれの権利を擁護する役割を果たすためには,法曹資格の取得においても貧富の差を問わず多様な人材が弁護士になることが必要です。
2004年の裁判所法改正にあたって,衆参法務委員会の附帯決議で,「経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう」関係機関が十分に協議をすることが求められたのも,法曹における多様な人材確保の必要性からです。
しかし,このように多くの司法修習生が多額の借金を負担していることや,法律家を目指す人が減少していることなど,当時予想されなかった事態が現実に起こりつつあり,経済的に裕福な人しか法律家を目指すことができなくなるおそれがあります。

また,裁判官・検察官・弁護士は,法律家として異なる立場から互いにチェックをすることで国民の正当な権利を守ることを仕事としています。その国民の正当な権利を守るという仕事の公共性・公益性ゆえに,これまで給費制によって法律家が育てられてきました。また,給費制は法律家に対し,公共心と使命感を求める制度でもあります。

このような理由から,広島弁護士会は,給費制の廃止が撤回されるよう求めています。

2009年5月,広島弁護士会は司法修習生の修習資金貸与制を廃止し、給費制の復活を求める決議をしました。

日本弁護士連合会も,司法修習生の給与制が維持されるよう求めています。
日本弁護士連合会のページ,リーフレットもご覧いただき,署名活動にご協力ください。

以上